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平成五年 年末クラス会記

村山 隆

十二月二日、街燈に灯のともる頃、JR市ケ谷駅から三々五々会場に向う期友の姿は浮き浮きとして楽しそう、何時の間にか足早やになっている。

恒例の「平成五年なにわ会年末クラス会」がグランドヒ〜市ヶ谷で開催された。いつもながら変わらないお元気な石隈教官のご出席をいただき、期友九四名、夫人六名、広島から遠路わざわざご参加された田島明朗様(特四号)を合わせ、総勢一〇二名となった。
 昨年は、第一線を退いた者も多くなり、ご夫人も参加し易いであろうとの配慮から、ランチパーティであったが、ゆっくりした気分になれないし、昼間から赤ら顔で町を歩くの
も気が引けるということで、評判が悪く、従釆と同じ夜型に戻したクラス会となった。

定刻より五分遅れの一七三五幹事岩本の司会で幕を開け、軍艦旗に敬礼、戦没者及び戦後物故者に対し黙祷、今年の物故者は、兵学校長新見閣下を初め、二月に小河美津彦、六月に松元金一、九月に高橋猛典、十一月に大熊直樹の四名である。
 高橋の急死は、健康相談をうけている数十名の愚者期友にとっては、屋上から大きな物体が突然落下してきたような計り知れない驚きとショックであったろうと思う。
 新見校長及び四兄の冥福を心からお祈りする。
 石隈教官から、自らを戒め、自らを励まし、健康には特に留意して残る人生を有意義あらしめるようにとの訓示を頂く。
 幹事佐藤が今年度実施した行事の概要報告に加え、兵学校卒業五十周年記念行事の概要を説明する。
@ 戦没者慰霊祭の実施
 アンケート調査に基づき、七月に有志が集まり、平成六年秋(十一月十五日−十六旦戦没者慰霊祭を江田島において実施することに決定した。参加予定者は四三四名(遺族を含む)となっているが、来年四月頃、あらためて出欠をとる。ご支援、ご協力をお願いする。
A 戦没者及び戦後物故者の記録の作成

「七十二期かく戦えり」の戦史を刊行することについては、重要で大きな意義もあるが、問題が多いので、それに替わるものとして期友の思い出やエピソードをなにわ会ニュースに投稿するようお願いする。
 幹事中山の音頭で乾杯、懇談に移る。

今回のクラス会においては、連絡・報告事項が多く、以下要点を記す。
@ 田島明朗様の紹介(岩本 修)

田島様は、来年江田島で行う慰霊祭の事前準備や情報収集のため、広島在住の期友の特命を受けて広島からわざわざ本会に参加された。
 田島様は、七十二期の特別四号生徒、略して特四号であり、なにわ会ニュース65号に寄稿「呂六十四潜航海長古川次男大尉の令兄」がある。

A ご寄贈品(佐藤 静)
 村田善則君のご母堂からリンゴ一箱、伊藤 保君のご母堂から日本酒(回天)一本が届く。リンゴは参加のご夫人に分配し、お酒はみんなで頂戴した。
B 「偲び草」を回覧(佐藤 静)
  「偲び草」は、羽原 寛君のご母堂の作。期友に回覧する。
 五十年祭白菊をそえて吾子しのぶ  ヒサ

羽原の誕生日(大正十二年八月二十九日)戦死日(昭和十九年十月三十日)の新聞を収録したものである。
C 渡部家絶家(佐藤 静)
 渡部辛博のご母堂死去により同家は絶家となる。遺言により、なにわ会に多額の御寄付あり。
D 水交会入会のお願い(矢田次夫)
 水交会は、会員の死去により先細りの状沈にあり、後輩や海上自衛隊の人達にバトンタッチできるように努力しているが、期友の入会もお願いしたい。七十二期の水交会加入率
は、四十九・一%である。
E 兵学校卒業五十周年記念行事の報告(樋口 直)
 ァ 慰霊祭及び戦史の編纂
   前述佐藤幹事の報告のとおり。
 ィ 戦没者の墓参
   殆どのご両親が亡くなられており、期友が戦没者の家をお訪ねすることが相手方に迷惑となることも予想されるので、組織的な墓参は行わない。但し、個人的に墓参することは制限しない。
 ゥ 洋上慰霊祭
   泉五郎の発議で、洋上慰霊祭を行うことに急きょ決定した。
 郵船クルーズ「飛鳥」に乗船、十一月八日夕刻那覇出港、午後六時十分過ぎ、伊江島附近において洋上慰霊祭を行う。
なにわ会々員四〇名に飛鳥の船長以下非番の乗組員達及び一般の乗船客四〇名が加わり、約一〇〇名の参列者による盛大な慰霊祭であった。

椎野が祭文を奉読、終って花束を投げ、酒を献じ、ご遺族の方は戦没者の思い出のものや日記帳などを海に流し、ご冥福をお祈りした。
 日が沈み、海が静かに暮れようとし、洋上に浮かぶ祭文は、白衣をまとった天女が優美な舞を舞うように波間に漂い、その情景は、言葉に言い尽くせない印象深いものであった。この洋上慰霊祭が、卒業五十周年のよい区切りになったことを報告する。
 なお、本洋上慰霊祭を行うについて、当初会社側は他の乗船客の迷惑になるとの理由で断ってきたが、日本郵船岩松 重裕君(七十二期で入校、七十三期で卒業)のお世話で実現
することとなった。同君に心から感謝申し上げたい。
 岩松をなにわ会の客員会員(会友)として遇したいと考えている。

F 叙勲者の紹介(鈴木 脩)
 今年の生存者叙勲の栄誉に輝いた出席の期友登壇、祝福の拍手を送る。
 伊藤正教、池田 誠七、岩本 修、小松崎正道、田中春雄、高崎慎哉、中山 皎、毎熊祐俊、矢田次夫、藏元正治、深尾秀文、

溝井 清は、ベルギー国王レオボルド二世勲章を、一九九三年二月一日受賞す。さらに盛大な拍手が会場に響きわたった。
 例年のとおり高崎生徒の指揮により軍歌を高らかに合唱、幹事窪添の締め括りの挨拶で二〇一五年末クラス会の宴を閉じ、来年の再会を約し、帰途についた。

北海道南西沖地震、南九州の風水害、自民党の下野、そして連立政権が誕生した政治の大きな転換、特に長雨・冷夏による米の凶作で、スーパーからお米がなくなるという異常事態などなど天罰をうけているような思いがするが、来年は明るいニュースが聞けることを期待し、併せて期友の健康を祈ります。
 来年の幹事は、(兵)岡本俊章、池田誠七、佐藤 静(留任)、

(機)野崎貞雄、(経)神林 勗の諸兄である。よろしく願います。
(出席者) 合計一〇二名 (氏名掲載略)