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平成22年5月13日 校正すみ

電話での話

和田 恭三

2年程前のある晩、富士から電話がかかってきて、珍しく長話をしたことがある。その中で「人間は何れ死ぬのだから、やりたいこと、したいことをそんなに制限をしてまでも長生きをすることはない」というような意味のことを彼は言った。酒が好きな彼は何とか理くつをつけて、当時既に制限されていた酒をもっと飲みたかったのだと思う。その時小生は、「貴様の葬式などには悲しすぎて出ることは出来ない。だから死なないようにしてくれ。それには制限も止むを得ないだろう。」と答えたこと覚えている。

その後、数ヶ月してCGCのゴルフで彼に会ったとき、「貴様の言ったことも尤もなので、高橋の言うことを聞くことにした」と言って、皆と一緒にゴルフやおしゃべりを楽しんで居た。

昨年の能登の旅行の時も皆と楽しんで旅をするために、気の毒になる程に節制をしていたのに〃 

全く残念でならない。もう少し長くつき合いたかった彼だった。

(なにわ会ニュース53号37頁 昭和60年9月掲載)

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